「サマータイム」
政界に、ニュースにと賑わせているこのワード。
経済効果についても賛否両論です。
夏の時間を2時間繰り上げる。
安倍総理、自民党は
”時を加速”させるのか?
ジョジョの奇妙な冒険(第6部) ストーンオーシャン第17巻より
サマータイム賛否両論、賛成派・反対派の主張
夏の時間を2時間繰り上げる「サマータイム」
安倍晋三総理はその導入を検討するよう、
自民党に指示しました。
しかし、
サマータイムについては
賛成派、反対派で大きく意見が分かれています。
●サマータイムの歴史
日本でも、実施されていたことがあります。
・1948年〜1951年にて4シーズン実施。
しかし、
寝不足などで社会的に不評であったので、
連合国軍の占領政策の終わりとともに廃止され、
現在に至っています。
日本の周辺の国々では?
・韓国、中国、台湾で過去にサマータイム採用。
現在では実施されておらず、サマータイムは
定着していません。
東南アジアでは、これまでサマータイムは
1度も実施されたことはない状況です。
あと「2年」しかない中で、
来年2019年の元号改正もあり
システム対応は現実的に難しいと思われますが、
自民党はどういう結論を出すのでしょうか?
●賛成派
「経済効果と省エネ」
サマータイム賛成派は産業界です。
理由として挙げるのは、
「経済効果」と「省エネ」となります。
例えば、サマータイムで余暇時間が増えて、
経済効果が1兆円近いという試算があリます。
●慎重派
「睡眠不足がもたらす健康被害」
睡眠不足は、様々な健康被害をもたらす
というのはよく知られています。
TBSドラマ「JIN-仁-」を医療指導・監修した
前田達浩 医師によると、
「認知症」・「脳卒中」・「キレる」
等の健康被害につながるという見方もあります。
・・・・・・・・・・・・
「経済効果」 VS 「健康被害」
という構図の中、
両陣の主張が火花を散らしています。
ただ、就業者個人のレベルで言えば
給料は増えそうですね。
終業が早い分、
残業しやすくなってしまうと思います。
また、「働き方改革だ!」と
各社残業減らそうとしていますが、
必ず摩擦が起きると思います。
(例)
サマータイムで早起き
→仕事終わらなくて残業
→働き方改革しろとギャーギャー言われる。
・・・地獄絵図ですね(笑)
経済効果 と 省エネはいかほど!?
●経済効果はいかほど!?
サマータイムで余暇時間が増え、
「経済効果が1兆円」
社会経済生産性本部が2002年にまとめた報告書。
こちらの報告が有名ですが、
最近でも民間エコノミストはほぼそれと
同様な試算をしています。
経済効果:約1兆2千億(株式会社第一生命経済研究所)
試算上はプラスでしょう。
しかし、経済的にマイナスになる気がします。
そもそも、出勤時間が2時間繰り上がると、
退社時間は15~16時と暑い時間。
すると、涼しい車内で残業してしまう
可能性が高いと感じます。
また、普段から忙しい会社や部署であれば、
早く帰れることは難しいでしょう。
さらに、残業にならないとしても、
余暇時間がそのまま増えたら、睡眠時間が減ります。
寝る時間が早くならなければ本末転倒。
→結果、
睡眠不足により、労働者の生産性低下
2016年の非営利研究機関ランド・ヨーロップ
の研究によれば、7時間以内の睡眠で
日本の経済活動はGDP3%の損失であるといいます。
サマータイムの推進側の経済効果が1兆円。
これは、GDP0.2%程度の利益です。
対して、睡眠不足が招くGDP3%の損失。
なんと!
1桁違うほどの大きい損失です。
サマータイムのメリット、デメリットを比較すると、
日本では日本人の睡眠不足もあり、
賛成派のいう経済効果の主張は部が悪いようです。
給料が上がる日が来るとすれば、
睡眠不足がなくなる時。
つまり、日本人が皆、
早寝早起きができるようになった時でしょう。
長い年月がかかりそうです。
●省エネはどうか!?
省エネについては、こちらが注目されています。
「夏季における計画停電の影響と空調(エアコン)節電対策の効果」(産業技術総合研究所(産総研)公開)
これによると、
サマータイムを導入した場合、
東京電力管内の消費電力は4%増加する
と試算されています。
「・・・えっ!省エネじゃないじゃん!?」
サマータイム導入によって、
業務で使用する電力は減少します。
しかし、
それ以上に家庭で使用される電力が増えると
推定されているためです。
先んじて導入した欧米諸国において、
省エネ効果があったのは高緯度国であったため。
夏の日照時間が長いため効果はあるでしょう。
しかし、アジアの中低緯度国では
その効果も限定的と言わざるを得ないでしょう。
二酸化炭素削減効果についても、
サマータイム導入により、
25〜123万トン削減との試算がある。
しかし、余暇時間の過ごし方によっては
逆に二酸化炭素も増えてしまう状況になりかねない
と思います。
以上のように、
経済効果・省エネという点においては
賛成派のアピールポイントとして苦しそうです。
安倍総理が、
メイド・イン・ヘブンを発動させる日は遠そうです。
まとめ
・夏の時間を2時間繰り上げる「サマータイム」賛成派、反対派で賛否両論。
・経済効果は睡眠時間減による生産性低下で反対派優勢か。
読んで頂きありがとうございます。